実践

リアルタイム翻訳アプリで、会議はこう変わる——選ぶ前に見ておきたいこと

リアルタイム翻訳アプリで、会議はこう変わる——選ぶ前に見ておきたいこと

会議で使うリアルタイム翻訳アプリを一つ入れるだけで、同じ会議の景色はずいぶん変わります。ただ「どれでも同じ」ではありません。会議が本当に楽になるかどうかは、ほとんど一点——字幕が出るタイミングで決まります。

会議前:相手が話し終えるのを待って、頭の中で訳して、要点を探して、気づけば次の話題。ずっと半歩遅れ。

会議後(ちょうどいい道具があるとき):話しているそばから字幕が流れるので、耳が滑った一語を目で拾える。訳す作業を道具に預けて、自分は「理解」と「次に何を言うか」に集中できる。

半年間、ライブ翻訳と学習を一つにしたアプリ「Hiroi(拾い)」を一人でつくってきて、いちばん聞かれるのが「結局、どれを選べばいいの?」でした。だからここでは宣伝の前に、会議用のリアルタイム翻訳アプリを選ぶときに見るべき点を、正直な限界も含めて整理します。

リアルタイム翻訳アプリで会議のテンポは戻る(字幕のタイミングがすべて)

いちばん大事なのに見落とされがちなのが、字幕が「いつ」出るかです。大きく二種類あります。

  • 発話が終わってからまとめて出るタイプ
  • 話しているそばから流れるタイプ(ストリーミング)

一見どちらも「リアルタイム」に見えますが、会議での体感はまるで違います。前者は、相手が一文言い終わるまで画面が沈黙します。その数秒のあいだに会話は次へ進み、字幕が出た頃にはもう遅い。会議のテンポは、この数秒の遅れで死にます。

後者は、相手がまだ話している最中から単語が置かれていくので、こちらの理解が発話とほぼ並走します。遅れが積み上がらない。「リアルタイム」と書いてあっても、ストリーミングかどうかは別物——ここは必ず確かめる価値があります。

「文字起こし」と「翻訳」は、同時に動くほど効く

会議翻訳アプリを選ぶとき、翻訳だけを見て文字起こしを軽く見がちですが、実務では両方が同時に見えることが効きます。

  • 訳文だけだと、固有名詞や社名が原語のニュアンスごと消えることがある
  • 原文(文字起こし)が横にあると、「いま何と言ったか」を自分で確かめられる
  • あとで議事録に起こすとき、原文と訳文が揃っているほど正確

理想は、話しているそばから、原文の文字起こしと訳が一緒に流れること。リアルタイムの字幕は、翻訳エンジンの精度だけでなく「文字起こし+翻訳が同時に、遅れずに」動くかで使い勝手が決まります。

会議で使うなら、プライバシーは"あると嬉しい"ではなく必須

ここは見落とせません。会議の中身は、たいてい社外に出してはいけない情報です。取引条件、未発表の数字、人の名前。それを翻訳アプリがどこかのサーバーに送り、ましてや録音していたら——それだけで、使えない場面が一気に増えます。

見るべきは二つ。

  • 音声を録音するか(しないのが望ましい)
  • 文字起こしや翻訳結果がどこに保存されるか(端末の中だけが望ましい)

「便利そう」より先に、まずここを確認する。会議で堂々と開けるかどうかは、精度よりもこの一点で決まることが多いです。

正直な限界——そして本当の価値は「そのあと」

どんなリアルタイム翻訳アプリにも、まだ苦手があります。

  • 強い訛りや早口では、拾い損ねる語が出る
  • 複数人が同時に話す(クロストーク)と、混ざる
  • ニッチな専門用語・社内の造語は、初見だと外す

つまり、道具は魔法ではありません。だからこそ大事なのは、流れていった一語を、そのあとどう扱うかです。無料の翻訳はその瞬間を訳して、そのまま忘れます。でも会議で出た言葉は、同じ取引先・同じ業界なら次にもまた出てきます。だから、聞き逃した語を「教材」に変えられる仕組みがあると、会議そのものが少しずつ味方になっていきます。

この「会話から言葉を拾って覚える」やり方は、会話から言葉を身につける話で詳しくまとめました。そもそも英語の会議で置いていかれる感覚については、英語の会議についていけないときの話もどうぞ。

Hiroi の場合——Listen と Face-to-Face

上の条件を一つの形にしたのが Hiroi です。使い方は場面で二つ。

  • Listen:全員の発言を、選んだ一つの言語にまとめて字幕化。話しているそばから流れます
  • Face-to-Face:画面を割って左右に一言語ずつ。対面で言語が違う二人が、どちらの側にも字幕を見られます

対応は日本語・英語・中国語。音声は録音せず、文字起こしも学習デッキも端末の中だけ。サブスクはなく、最初の1時間は無料、そのあとは使うぶんだけの時間パックで、買った時間は期限切れになりません。

会議で使うリアルタイム翻訳アプリを探しているなら、まず「字幕がストリーミングで出るか」と「録音しないか」——この二点だけでも見てみてください。気になったら hiroi.app をのぞいてもらえたら嬉しいです。

その会議で拾った一言が、次の会議で楽に使えますように。

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